○泉州南消防組合職員惨事ストレス対策要綱
平成30年8月21日
泉州南消防組合消防長訓令第13号
(目的)
第1条 この要綱は、災害出動等に起因する惨事ストレス対策を定めることにより、職員の心の健康増進を図り、活気に満ちた職場環境の整備に資することを目的とする。
(1) 惨事ストレス 消防職員が災害出動等により、悲惨な現場で業務に従事することにより受ける、強い心理的負荷をいう。
(2) ストレス反応 心拍数の増加や発汗等の身体的な症状及び現実感の消失、集中力の低下、フラッシュバック等の精神的な症状をいう。
(3) デフュージング 災害等の外傷的出来事(惨事)の直後に、ストレス反応の緩和を目的として分隊長等を中心に行う小規模なミーティングをいう。
(4) デブリーフィング 惨事ストレスを緩和するため、構造化された方法により行う二次グループミーティングをいう。
(5) PTSD 心的外傷後ストレス障害の略で、ストレス反応の症状が1ヶ月以上持続する障害をいう。
(6) 緊急時メンタルサポートチーム 総務省消防庁が所管するチームで、大規模災害、特殊災害等が発生した場合において、現地の消防本部へ出向き、惨事ストレス対策の支援を行う団体をいう。
(惨事ストレス対策の実施)
第3条 消防長は、職員に対し惨事ストレス対策の必要性を理解させ、次に掲げる対策を講ずるものとする。
(1) 惨事ストレス教育対策
(2) 現場活動対策
(3) デフュージング対策
(4) デブリーフィング対策
(5) PTSD対策
(6) その他惨事ストレス解消のために必要な対策
(所属長等の責務)
第4条 所属長及び当直責任者(以下「所属長等」という。)は、惨事ストレスについて、重要性を理解するとともに、所属職員に対し惨事ストレス対策を指導しなければならない。
2 所属長等は、所属職員がストレス反応の様相を呈している場合には、当該職員の惨事ストレスを発散させ、又は解消するために適切な指示を与えなければならない。
(分隊長等の責務)
第5条 災害出動した分隊長又は小隊長(以下「分隊長等」という。)は、次に掲げる事案に従事した場合には、所属長等に報告するとともに、隊員のストレス対策について留意しなければならない。
(1) 子供や母子の死亡等、自分の家族を想起させるような現場での活動
(2) 著しい身体の損傷等凄惨な現場での活動
(3) 多数の死傷者が発生した現場での活動
(4) 自身の受傷や死亡重症等、非常に危険又は不安定な状況化での活動
(5) 同僚の負傷、殉職が発生した現場での活動
(6) 救出した人の死亡又は救命救出できなかった現場での活動
(7) 極寒、炎熱、暴風、異臭等の状況下での長時間活動
(8) マスコミや多くの衆人環視の中での活動
(9) その他ストレスへの対策が必要と思われる活動
(職員の責務)
第6条 職員は、惨事ストレスの発生要因等を正しく理解するとともに、自らの健康維持及びストレスに対処するための解消方法等の習得に努めなければならない。
2 所属長等は、前項のデフュージング及び調査の結果、職員が強いストレスを受け、更にストレスケアが必要と認める場合は、消防本部総務課長に報告するものとする。
(デブリーフィングの実施)
第8条 消防本部総務課長は、前条の規定による所属長等からの報告を受けた場合には、所属長等及び産業医と協議のうえ、対象となる職員に対してデブリーフィングを実施するものとする。
2 デフュージング及びデブリーフィングの実施に際しては次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) ストレスを発散させることが目的であるため、秘密の厳守に努め会話記録は残さないこと。
(2) 参加や発言は個人の自由意思であり、強制はしないこと。
(3) 発言内容や個人の感情に対して、理解を深めることに努め批判は行わないこと。
(専門家によるストレスケア)
第9条 職員の惨事ストレスケアの実施に際して、医療上のカウンセリングが必要な場合は、次に定める専門機関に委ねるものとする。
(1) 産業医
(2) 緊急時メンタルサポートチーム
(3) その他消防長が指定する専門機関等
(その他)
第10条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は消防本部総務部長が別に定める。
附則
この要綱は、平成30年8月21日から施行する。